教育委員会の講座委託:プロポーザルで決めること
子ども向けの講座を民間に委託するとき、今回読んだ5つの自治体の例は、いずれも公募型プロポーザル(企画提案を募り、点数で選ぶ方式)でした。流れは概ね「公告 → 質問 → 参加表明 → 提案書 → プレゼン → 選定 → 契約」で、見積書を取る段取りは自治体によって違います。この記事では、自治体が実際に公開した実施要領・仕様書から、期間、上限額、仕様書に書く項目、配点の作り方を並べます。
公開されている5つの例
| 自治体 | 年度 | 内容 | 上限額(税込) | 公告から結果まで |
|---|---|---|---|---|
| 浜田市(総務部DX推進課) | 令和7〜9年度 | マイクラによる小学生ワークショップ。市内5会場、各会場3回程度 | 3か年で9,180,000円 | 約2.5か月(10月6日の公告から12月下旬) |
| 嘉手納町(教育委員会社会教育課) | 令和7年度 | 小学校2校の放課後に出前講座。教育版マイクラ。計90回以上、各校35人 | 8,083千円(小学校の部) | 約1か月 |
| 糸満市(情報政策課) | 令和5年度 | 小中学生向けプログラミング講座。延べ120人以上 | 2,285,000円 | 約5週間 |
| 山梨県教育委員会 | 令和5年度 | 中学生の1日プログラミング体験。40名×3回 | 想定額9,174千円 | 約5週間(9月22日の資格申請から10月下旬) |
| 静岡県教育委員会 | 令和8年度 | 小・中・高生の講座。各20人、最大60人。各2回 | 5,000,000円 | 約2週間 |
浜田市と嘉手納町はマインクラフト(教育版)を指定し、糸満市・山梨県・静岡県はプログラミング全般の講座です。上限額は、人数や回数、会場や機材をどちらが持つかによって大きく変わります。
仕様書に書かれていた項目
仕様書や募集要項に書かれていた項目は、例によって違いますが、次のようなものでした。
- 対象の学年と定員:浜田市は小学4〜6年生で1会場20〜30人、嘉手納町は4〜6年生で各校35人、糸満市は「1講座10名程度」
- 回数と1回の長さ:嘉手納町は1回90分、山梨県は1回6時間程度
- 会場を誰が確保するか:糸満市は会場を市が仮予約したうえで、受託者が日付を選ぶ。山梨県は会場が県庁
- 機材を誰が用意するか:浜田市はノートPC・3Dプリンター・Minecraft Education Editionを市が購入。糸満市は教材(PC・ルーター・ソフト・テキスト)を受託者が用意
- 参加費:浜田市・嘉手納町はいずれも無料
- 広報の分担:糸満市は、市のホームページやSNSへの投稿案は受託者が出し、運用は市が行う
- アンケートと報告書:糸満市は実施・集計・改善提言までを求め、報告書の著作権は市に帰属
- 安全管理:嘉手納町は、参加児童の傷害保険への加入を受託者の手続きとし、費用は委託料に含む
- 応募の条件:浜田市は市の有資格者名簿への登録、静岡県は県の入札参加資格、嘉手納町は沖縄県内に本社・支店等があること
嘉手納町の募集要項には、次の一文があります。
本事業の委託料は精算制です。
(嘉手納町の公募ページの募集要項)
90回に満たない分は精算で減額される仕様で、「何回実施するか」と「何人配置するか」が金額に直接つながります。
配点の作り方は自治体で違う
| 自治体 | 配点 | 価格の扱い |
|---|---|---|
| 浜田市 | 企画提案内容50、実施体制20、業務実績20、その他10 | 「見積金額が適切か」5点 |
| 嘉手納町 | 法人の概要・実績・体制40、企画提案内容50、見積価格10(100点満点。平均67点に満たなければ選定しない) | 見積価格10点 |
| 糸満市 | 総合的な企画力50、提案内容の実現性等40、見積価格10 | 見積額が上限を超えると評価対象外 |
| 山梨県 | 企画提案の総論10、ワークショップの内容35、運営20、実施体制5、講師の実績10、スケジュール5、提案価格15 | 配点×(1-見積額/予算上限額) |
| 静岡県 | 別紙の評価基準に、事業の企画性25、事業の実効性20、事業の経済性5(資料の表に載っている配点は、この3項目の50点分) | 事業の経済性5点 |
価格の点数のつけ方が割れる背景は、自治体の手引きにあります。大阪市のガイドラインは、提案金額が低いほど高く評価する「価格点」を置くと、価格競争に適さない業務として随意契約にした理由と矛盾する、としています。評価するのは「提案内容に比べて提案金額の積算が妥当か」です(大阪市)。一方、山梨県は価格点を15点とし、徳島市のガイドラインにも、提案価格を点数にする計算式が例として載っています(徳島市)。
大阪市のガイドラインには、採否についても次のように書かれています。
必ずしも契約相手方を決めなければならないわけではありません
基準に届かなければ、どの提案も採用しない選択肢が、最初から用意されています。
公告から契約まで
山梨県の例では、優先交渉権者を選んだあとに見積書を取り、予定価格の範囲内で随意契約を結びます。糸満市と嘉手納町は、選ばれた事業者と協議して契約します。想定額については、実施要領に次のように書かれています。
この金額は、契約時の予定価格を示すものではなく、企画内容の規模を示すためのものである
(山梨県 実施要領)
徳島市のガイドラインも、契約は「提案内容を反映した仕様書を作成」して見積書を取り、随意契約で結ぶ、としています。提案を受けてから仕様を固める点が、通常の入札と違います。
委託を受ける側として
マイクラブース(株式会社セカンドラボ)は、自治体の教育委員会から委託を受け、小学3・4年生111名のプログラミング講座を、主催者が配布済みのiPadで実施しました(事例)。浜田市や嘉手納町のように、機材を発注側が用意する形でも、受託側で用意する形でも、仕様に合わせて提案します。
ワールドを新しく作る場合の目安は次のとおりです。
| 頼むもの | 目安(税別) |
|---|---|
| 施設や狭い範囲を再現したワールド | 30万円〜 |
| 当日の運営(スタッフ3名・同時に体験5名まで) | 1日25万円〜 |
表示の金額は目安です。内容・規模・ご予算に応じてご相談ください。
まとめ
- 読んだ5例は公募型プロポーザルで、公告から結果まで2週間〜2.5か月だった
- 仕様書では、対象・定員・回数・会場・機材・広報・報告書・安全管理を、発注側が先に決めている
- 価格点の置き方は、大阪市の「置かない」から山梨県の15点まで、自治体で違う
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この記事は、マイクラブース(運営:株式会社セカンドラボ)が書いています。公式の資料・公開されている情報と、私たちが行った講座・体験ブースの記録をもとにしています。
※ 2026年10月22日時点の内容です。制度や価格は変わることがあるため、最新の情報は各公式サイトでご確認ください。
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